奏でに魅入られし女。彩りに見放されし男。
彼女の心にはあの日の音色が今も変わらず響き、
彼の瞳にはただ守るべきモノだけが絶えず映る。
明治4年11月東京。
悲しき響きと通わぬ想いに染まりし夜に出会ってしまった二人。
彼女は知らない。彼が守りし旋律を───
彼は知らない。彼女が求めし彩りを───
明治という激動の時代を駆け抜けた二つの想いが語る色の奏でしものがたり。
「訊きたいんです、あの人に───私の奏でる旋律が何色なのかを───」
明治4年11月東京。
岩倉使節団の出発を1週間後に控えた最中、使節団福使木戸孝允の側近で佐伯泰朗が斬られる。
斬った男の名は【山田風汰】。
佐伯の護衛を努める【秋月竜彦】の親友であり、色を失いし男。
そして・・・人には見えぬ「命の彩」の見える男。
手負いの中逃げ続ける風汰。
やがて力尽き雪の中に倒れてしまう。
意識を失いかけたそのとき、救いの手を差し伸べた一人の女性。
【佐伯かなで】。
・・・そう、今まさに彼が命を奪った男の娘。
・・・そして親友・秋月が想いを寄せる女性。
運命に彩られし出逢い。だがその真実を知るものはまだいない。
守らんが為に抜いた刀と背負いし代償。
拭いきれぬ悲しみと、それでも求めし音色。
主君の敵を討たんとする志と友と交わした契り。
そして佐伯の死を巡って蠢く大きな思惑。
やがて事態は岩倉使節団の存亡を揺るがしかねない謀略へと繋がっていく。
すれ違う想いの中でそれぞれの求めし真実、彩り、旋律・・・・・・
切なくもまっすぐな・・・・・・それは色の奏でしものがたり